カテゴリ:ニジイロクワガタ > ピカール系

紫紺ピカールは特に、ブリーダーが色んな名前を付けて出品しているのを見かける。確かに紫紺ピカールは、他色のピカールと比べても変異が豊富な上、羽化したての光沢感は他に強くて魅力的だが、各々(ごく一部の長く累代を重ねてオリジナルを作った方を除く)が独自の名前を付けて売るほど、その血統(個体)に独自性は無いと思っている。とはいえ各々が独自の名前を付けることを否定しているわけではなく、好きな名前を付ければいいと思う。

 

ちなみに僕は〇〇紫紺ピカールも、△△紫紺ピカールも「紫紺ピカールの変異」として管理している。それらを区別するために「〇〇タイプ」といった便宜的な呼び方をこれからするかもしれないけれど、完全オリジナルかのような「〇〇△△」紫紺ピカールなどとは付けられない。

 

これらは、各々が独自の名前を付けることは自由だ、と思っている反面、取り立てて独自性があるわけでもない個体に独自の名前を付けて売ることは正しいのか?という個人的な葛藤である。

 

 

話を紫紺ピカールのパターン変異に戻す。

 

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①のパターンは、前胸部が暗く、ブラック寄りのグレーといった色。暗色のため、黒塗りの高級車のような光沢感がある。こちらは尊敬するブリーダーさんがインブリードで厳選して作られたライン。上翅は他ピカール同様に横に広がる傾向にあるが、体感他ピカールよりその傾向は弱い。60mmを超えた個体はやはり少しワイドになったが、翅パカ等の羽化不全はそんなに羽化していない。

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②のパターンは、上翅に薄らと青みが乗るパターン。ブルー系紫紺ピカール等とも呼ばれる。

色んな独自の血統名がついている紫紺ピカールのほとんどはこれか、③のパターンに近いと思う。

前胸部は①のようなグレーか、暗銅色。上翅の横の広がりはほとんどなく、ピカールとは思えないほどスリムな印象。55mm程度では非ピカールのようなスリムさがあった。60mm台は羽化させられなかったので、次世代は60mmを羽化させてどれだけ上翅が横に広がるかを検証したい。


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③のパターンは、上翅に青みが乗るのは②に似ているが、前胸部の銅色がもう一段階明るい。前胸ヘリの油膜のような表現が顕著に現れる。明るい銅色なのは、羽化して間もないからかもしれない。
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④はかなり①に似るが、前胸部のグレーが一段階薄いか、または暗いグリーンになる。ゴクサイシキでは紫紺ピカールと紫紺グリーンピカールをかけあわせると、このようなパターンがよく羽化してくる。
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⑤のパターンは、①のパターンと②のパターンをかけあわせてみたもの。ほぼ①の色味だが、①より若干前胸部の色が薄く、④より濃い。②のような上翅の青みはほとんど見られなかった。ここまで微妙な特徴はわざわざ載せなくていいかもしれないが、せっかくなので載せてみた。
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現状ゴクサイシキが確認した紫紺ピカールのパターンをいくつか掲載してみたが、当然世に流通する紫紺ピカールがこれらに全て当てはまる等と言う気は全くない

 

個人的には、紫紺ピカールは①と②のパターンに大別でき、他は①か②の誤差だと今のところ考えているが、これから一線を画すような新しいパターンが生まれてくる可能性はもちろんあるし、生み出せるなら生み出してみたい。

はてなブログでも同じ記事を投稿しており、高画質のためこちらがオススメです。




「次世代の」とは読んで字のごとく、次の世代のグリーンピカールをどのように作っていくか?という意味で、「今までにない次世代の最高のツヤ!!!」といった意味ではない

 

ピカールに限らず、グリーンというのはレッドや紫紺と比べて作出が難しい気がしている。PMR-Rという血統のレッドは、血のような強い赤みがあり「これこそレッドだ!」と思わされる。しかしグリーンはどうしても上翅に赤みが残ってしまう。前胸部は濃いグリーン単色が作出出来ても、上翅の赤みは中々弱くなってはくれない。

 

いっそのこと紫紺をかけてしまえば、運が良ければ前胸部も上翅も濃いグリーンが羽化するのだが、紫紺を混ぜてしまうと、累代するにつれて紫紺が出たり出なかったりする傾向にあるので、ゴクサイシキでは「それはグリーンではなく紫紺グリーンです」として管理している。仮に体表に紫みが現れていなくても、紫紺を混ぜた時点で管理は紫紺グリーンとなる。

 

よって紫紺を混ぜずにグリーン単色を目指すことになるが、今のところ「ひたすらグリーン血統でインブリード」しかまともな策が思いつかない。去年累代していたグリーン レッドアイは赤みがかなり少なく、グリーン個体として非常に優秀だったが、累代をやめてしまった。グリーンよりもレッドや紫紺に関心が傾いていたのもある。

 

ひたすらインブリードを繰り返して青紋も生まれたし、紫紺も生まれたのだろう。そう考えれば途方もないインブリードの累積も…するしかない。

 

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現在の種親グリーンピカール 管理No.543

去年からの引き継ぎ種親。かなりスレてきて光沢は鈍くなってきたが、体力的にはまだいけそうだ。上翅には薄らと赤みが入るが、光沢、形状、サイズはかなりいい。

 

現在羽化してきたグリーンピカールのメスで、かけあわせようと考えているのがこのあたり。管理No.446A のメスで、種親はかなり赤みが少なく、グリーンが濃かった。

 

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写真を比べてみると、1頭目のメスの赤みは他と比べて暗く、赤みを無くすには適していそうだ。もう少し同ラインのメスを厳選する必要がありそうだ。

種親 No.446

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こう見ると、オスはかなりグリーンとして完成されている。このクオリティで全面光沢を付与し、65mmが狙えたら…最高だ。

今年もあと1週間。朝は寒くて何もする気が起きないが、僕はこの年末の浮かれた空気が好きだ。そして今日はクリスマスイブだが、僕は長期休暇を有効に使ってを詰めている。………今日はインブリードとアウトブリードについて書こうと思う。

 

インブリードとは、人間では絶対タブーな近親交配という交配方法で、兄弟同士、または親と子などの組み合わせで次世代を繋げるという方法だが、カブトクワガタ(カナブン)界隈ではごく当たり前に行われており、 馬、犬、鶏などでもインブリードは行わせるようだ。カブトクワガタの場合、特に流通の少ない種類の存続(別血統を用意するのが難しい)や、意図的に血を濃くする場合に行われる。

 

意図的に血を濃くする目的については、その個体が持っている形質を次世代に強く引き出すため、というのがほとんどだろう。角の太いヘラクレスを作りたかったら、羽化した角の太いオスと兄弟にあたるメスのインブリードを繰り返し、角を太くしていく(そうしてあのバケモノじみた個体が作られた)。アゴの太いオオクワガタを作る場合も同様だ。

 

ニジイロクワガタでもインブリードは重要な意味を持つ。野外品の緑と赤から構成されるノーマルのニジイロクワガタを、「より緑」を目指してインブリードして今のグリーン血統があるし「より赤」を目指してインブリードして今のレッド血統がある。野外品輸入から25年の間、持ち前の個体のみでインブリードを重ねてきたから、もう日本に流通する全ての個体が兄弟みたいなものとも言えるが、現在世界中にいる全ての牛の先祖は80頭という説もあるから…この例えはあまり適切ではないか…日本に輸入された、たった数頭の祖先からニジイロクワガタは始まっている。そういうことだ。

 

話を戻そう。つまりインブリードは、角を太くしたりアゴを太くしたり色を強く出したりと、現在の形質を強化する効果があると言えるのだが、残念ながらデメリットもある。その一つが、奇形が生まれやすくなるという問題だ。似た遺伝子を持つ個体同士で交配した場合、遺伝子多様性が減少し、成長や健康に害をもたらすことが原因らしい。専門的なことは各自調べて頂きたい。

 

インブリードが原因とされる負の影響は様々だが、カブトクワガタだと多いのが、翅パカではないだろうか。ヘラクレスヘラクレスを中心にブリードしていた時、オスの翅パカがとにかく多かった。翅パカも蛹爆発も幼虫の頭部の奇形もあった。体重を載せすぎたというのも原因としてあるだろうが、一番は限られた優秀な血統を濃くしていくことによる奇形だと考えている。

 

それに比べると、ニジイロクワガタはインブリードに強いと言えるだろう。現在ラピスブルー(青紋)血統PMR-R(レッド)血統は、インブリードを17回以上繰り返していることになるが、外見上目立った奇形が現れる確立は低いし、飼育していて産卵数が少ないと感じたことはない。何なら他血統よりよく産卵するし、強いまである。ニジイロクワガタのインブリード耐性は多種と比べても異質かもしれない。連作障害を起こすどころか、連作するごとに立派に育っていくサツマイモのようだ。

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PMR-R血統のオスF17。インブリード17世代目ということは、野外品輸入とほぼ同時期からインブリード厳選が始まったといえる。

だがそんなニジイロクワガタにも翅パカ傾向の高い血統はある。その一つが「ピカール」だ。本来ならつや消しの前胸部も、上翅と同様に光沢がある血統のことで、ニジイロクワガタの中で最も人気だ。今年は特に紫紺ピカールの人気が半端ではなかった。

 

そんなピカール血統だが、飼育していて明らかに翅パカ率が非ピカール血統と比べて高い。というのも体型が横に広がる傾向にあるため、翅をしまうのが非ピカールよりも難しいからではないかと考えている。また、横に広がりやすい故にアゴが伸びにくく、全長を伸ばしにくいという特徴もある。非ピカールなら大歯型になるような全長でも、ピカールだと中歯、という場合が多く、極彩色では60mmを超えるのが一つのボーダーとなっている。

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紫紺ピカール61.3mm。居食いをしてくれたためか60mmを越すことが出来た。

ピカール血統のルーツは、某ショップさんが突然変異的に前胸部に光沢がある個体を羽化させたところから始まっている。その際、前胸部の光沢と共に「横幅が広くなる」形質も受け継いでしまったせいで、今の体型があるのではないかと考えている。

 

現在、多くのブリーダーの厳選と累代により、光沢が非常に強いピカール血統各色が流通している。それらを入手し、インブリードすれば次世代も強い光沢を持った個体が得られるだろう。だがそれだけでは長く続かないのではないかと思う。徐々に翅パカ率が高まって、最後は絶える未来が見える。それはどうしても避けたい。そのためのアウトブリードだ。

 

去年5月、光沢の強い紫紺ピカールF3を入手し、インラインの他にアウトラインを組んだ。インラインはもちろん超光沢×超光沢のF4で、アウトラインは超光沢×微光沢のF1だ。ここでの微光沢というのは、恐らくだが「ピカール由来の光沢ではない」気がするので、非ピカールだと認識して問題ない。ピカール由来の光沢ではない件についてはまた次回。

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超光沢F3×超光沢F3 のインブリードF4は、一頭の例外もなく超光沢で羽化した。オスもメスも全面に光沢があった。また、前胸部の色はオスは全て暗黒色、メスは暗緑色が数頭いて、大半は暗黒色だった。体型はやはり非ピカールと比べると横に広がったが、翅パカは30頭程度いるうちの4頭程度だった。特筆して多くはないが、非ピカールと比べると多い。

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上記と同じ紫紺ピカール61.3mm。インラインのF4で、若干上翅幅に広がりがある。光沢は非常に強い。

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続いて超光沢F3×微光沢F1のアウトブリード。前胸部の色はかなりバラつきがあり、暗黒色と暗緑色が半々くらいだった。体型は全頭ほぼスリムで、なんと翅パカ個体はいなかった(蛹化直前に頭が下になり奇形化した個体はいたが)。そして一番驚いたのが、超光沢かつスリムに羽化した個体が数頭いたことだ。アゴも細部まで発達し、よく伸びている。光沢が強く、スリムで、羽化不全率も低いという「いいとこ取り」を実現した。まあ対象の個体数が少ないので、一概に決めつけることは安直だが、アウトブリードの必要性と可能性を痛感した。

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アウトライン52.9mm。50mm台前半というのは、非ピカールなら大歯が多いが、ピカールでは大歯と中歯で別れるところではないかと思う。しかしこの個体は大歯であり、ピカールにはあまり見られないアゴの湾曲まである。体型はスリムで、非ピカール個体と遜色ない。しかし光沢はインラインと同じくらい強い。いいとこ取りをしたような個体だ。

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画像に(オス5%)とあるように、アウトブリードでいいとこ取り出来たオス個体は羽化した5%程度で、あとは無光沢と微光沢な個体が95%だ。メスの超光沢比率は体感30%くらいだ。

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微光沢個体。普通の紫紺個体と比較すると鈍い光沢はあるが、インラインには及ばない。体型はスリム。またアゴの発達も良好。前胸部が若干緑がかっているため、前胸部の色は微光沢個体の遺伝子を受け継いでいるようだ。

欲しい形質が安定して継承されるインブリードと比べて、アウトブリードには「ハズレ」が付きまとう。特に色虫はその傾向が強いのではないだろうか。「ハズレ個体(狙った形質が継承されないという意味で)」が羽化するリスクがあるアウトブリードは、出来ればしたくない(ピカール以外にも、青紋とのアウトブリードなんかもそう)というのは皆同じだ。だがしないといつか絶える。ジリ貧状態だ。

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横に広がりがあるゴールドピカールのオス。特にゴールドとグリーンピカールは横に広がる傾向が強いと感じる。もちろんブリーダー(保有者)のラインによって傾向に差はあるだろうが、微々たる差ではないか…と思う。

野外品の輸入が絶望的なカブトクワガタは沢山いる。ヘラクレスヘラクレスやニジイロクワガタもその1つだ。これからも長く飼育を楽しむためには、先人が作ってきた血統をインブリードするだけではなくて、アウトブリードで血を整えることは必須だ。

 

狙った形質が出ず「ハズレ」を引くことになるかもしれない。だが、いいとこ取りした個体を手に入れるチャンスでもある。同産地、同種の交配限るが、ぜひ取り入れて見て欲しい。

 

ニジイロクワガタはヘラクレスやオオクワ等と違って近縁種が輸入されていない(近縁種は一応いるらしいが激レアらしい)し、産地もオーストラリア ケアンズ(稀にキュランダまで入っていることがある)の一択だから交雑を心配がない、というのもいい所。

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