ゴクサイシキのブリードルームでは、通年ほぼ同じ温度帯になるよう管理しているが、11月から3月あたりにかけて明らかに成虫の活性が落ち、1個も卵が採れない産卵セットが乱発する。去年もそうで、今年もそう。卵は全く採れないし、成虫はほぼ動かない。精神的に結構参る。温度に変化はないのに、なぜこの時期はここまで活性が落ちるのか、ずっと疑問だった。今朝まで。
じっっとしているオス
何が原因なのか…と頭を悩ませていると、はっとした。湿度だ。湿度が低いせいではないか?と。
現地オーストラリア ケアンズではおそらく、高温多湿になる雨季に活発に活動するはずだ。いくら25年日本の人口飼育下に置かれていたとしても、25世代くらいでその性質が失われる可能性は低い。現代人の脳のシステムは今でも原始人とほぼ変わらないというのを本で読んだ(スマホ脳)。ニジイロクワガタも湿度が低くなり、乾季が来たと判断して冬眠状態に入るのではないか?
そこで、早速ケージ内に霧吹きを吹きまくった。ゼリーにも個体にも吹きまくった。すると明らかに活性が上がった。実を言うと僕はあまり霧吹きを行わない。理由は個体の排泄によりケージ内の湿度が上がるため、わざわざ霧吹きで湿度を上げる必要が無いと考えていたからだ。しかし、湿度が下がる冬季で個体の活性が落ち、エサを食べないので排泄もしない状態なら、湿度を上げるトリガーが必要になる。確かに。今まで考えもしなかった。
すると、ずっと皿下でじっとしていた個体が、這い出てきて徘徊している。ゼリーを食べ続ける個体もいる。24頭いる種親のうち3頭も外に出ていなかったのが、既に9頭が上で活動している。そのうちグリーンピカールの変化は顕著で、一切ゼリーを食べず餌皿の裏でじっとしていたのがひたすら徘徊して何度もひっくり返るほど動いている。
そうだよ、雨季が来たんだよ!!!
はしゃげ!!!!
温度も大事だが湿度も大事。あまりにも素朴で初歩的な部分かもしれないが、初歩的過ぎて疑問を持たなかった。どんなことでもそうだが、慣れてくると常識が形成され、行っているあらゆることに疑問を持てなくなる。
今年から飼育工程を考え直し、大型個体の羽化率向上を企んでいる。新たな挑戦も大事だが、常態となっていることを再考することも欠かさず行う。
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