2021年07月

FullSizeRender

よく落札させて頂く飛騨山角さんからのお荷物が
届いた。ダンボールに飛騨山角さんのロゴマークが印刷されていて、カッコイイ。ふるさと納税でブランド野菜セットを頼んだらこんな箱で届きそう。


IMG_0081
今回落札させて頂いたのは
U71U61.Y170.T-117vol-7 155mm
角折れ&若干の翅開きのB品個体だ。

IMG_0082
特筆すべきは胸角基部(胸角の付け根辺り)の太さだ。
加えてこの個体、角折れ前は174mmあったらしい。
どう見ても174mmの太さではない。

IMG_0091
IMG_0084
前胸から胸角基部にかけてのラインが非常に緩やかである。大半のヘラクレスはラインが急で、肩のようなラインを描く。

FullSizeRender
胸角突起前は約13mm。
前胸幅にもよるが、大体11mm後半もあれば胸角突起前は太く感じる。13mmといったら150〜160mm台の個体でもそうそういない。それを170mm台で出すというのは簡単な話ではない。
FullSizeRender
こちらは今年我が家で羽化した163mmの個体。
胸角突起前は12.7mmあり非常に太く感じたが、この個体よりも太いのである。
IMG_0024
胸角突起が太い(上から見た時に太く見える)個体のほとんどは、横から見ると「うすっぺらいな」と感じる。要は「幅が広いぶん、厚みはない」パターンが多いのだが、この個体は横から見ても太く感じ、胸角先端にかけての緩やかなアーチがある。角が折れていなければ超美形だったはずだ。

FullSizeRender
FullSizeRender
いい例がこちら。「幅はあるけど厚みはない」という意味が伝わるだろうか


FullSizeRender
前胸幅は40.2mm。前胸幅40mmを越える個体はそうそういない。我が家では羽化したことは無く、種親では2頭目。

FullSizeRender
前胸幅40mmあった種親G-OAKS 170mm
170mm台でようやく前胸幅40mmに達する。

IMG_8359
ちなみに突起前は12.1mm

IMG_0093

IMG_0089
IMG_0081
要はものすごい個体を入手出来て超嬉しいということなのだが、角折ということで格安で落札できたことも加えて嬉しい要因となった。おそらく角が折れてなかったら4倍くらいの値がついたと思われる。
角折により75%オフになったという考え方をすれば
角が折れてないというのは非常に重要な価値であることがわかる。当然だが、角が折れたからと言ってブリードに支障が出る訳では無い。

ただシンプルにカッコ悪いだけだ。
角の先端に価値が75%取られているとは、人間で言えば前歯のようなものではないだろうか。

身長185cm。程よく筋肉が付いていて、イケメン。
ファッションセンスもよくて、よく笑う。
ただ前歯がない。前歯だけが全てない

想像するとちょっと面白い。






以上です。読んでいただきありがとうございました。

瑞です。
この度ブログタイトルと自分の名前を
変えてみました。
気分です。
宜しくお願い致します。


                                                                                       
きっかけ

FullSizeRender


先日購入したマルスゾウカブトを「かっけえなぁ…」
と眺めていたら、
そういやマルスって、大型個体でも他の大型メガソマ(ゾウカブトの仲間のこと)と比べて相場がすごく安いし、値段が高騰することもほぼないなぁ…

と、ふと思った。
ヤフオクを見ていると、大型♂でも1万を切っていることが多く、♀は4000円でもずっと売れ残っている場合もある。120mm台の超大型レベルは除いて、数千円で購入出来る安価さだ。

いや、それでも虫の中で数千円じゃ高いでしょ
そう思う人もいるだろう。だが、幼虫期間2年以上
かけて育てるコストと、成虫の圧倒的迫力を考えるともっと高くなっても不思議ではない。


今回はこの
マルスゾウカブト、年中ずっと安い問題
について、私見をまとめてみた。

FullSizeRender

                                                                                      

結論



結論から先に言うと、マルスが年中安いのは
「金儲け層」が参入しにくいからだ。


まず、生き虫の値段が高騰する大きな原因の1つとして、誰かが「この虫いいよ!」と紹介したり、野外品が久々に入荷することで、
「この虫殖やして売ったら儲けられそう」
と考える層がこぞって買うというのが挙げられる。

「儲けられそう」と考える人が買えば買うほど、その虫の相場はどんどん高騰していく。今ではニジイロクワガタの「ピカール血統」「ブルー個体」の高騰が激しい。勿論純粋に好きだから欲しい、という人もいるのは間違いないだろう。しかし、どこかで「儲けられそう」と考えている感は否めない。

去年はババオウゴンオニクワガタ、その前は超極太ヘラクレスやサタンオオカブトの相場が高騰し、詐欺出品が横行したりもした。
そうした「急に相場が高騰する虫」に共通することについて、私は3つの条件があると仮定した。

それが
①ある程度飼育法が確立されている
②幼虫期間が長すぎない(1年半以内)
③野外品が入ってきたのが比較的最近
である(勿論例外はある)。
この3つの条件のうち、2つ以上該当していれば
「金儲け層」は手を出す。


ゾウカブトを
パチェコヒメゾウカブトのような「小型メガソマ
マルスゾウカブト以外の、エレファス、アクティオンといった「マルス以外の大型メガソマ
そして「マルスゾウカブト」の3パターンに分類し、
上の3条件に当てはめてみる。

FullSizeRender
↑パチェコヒメゾウカブト

まず「小型メガソマ」
①ある程度飼育法が確立されている  ○
→これは飼育のパターンにほとんど差がない全メガソマに言えることである(一部アメリカのレア種除く)。

②幼虫期間が長すぎない(1年半以内)  ○
→小型メガソマで1年半以上幼虫期間のある種類は少ない。我が家のパチェコ、ペーニャは1年程度で羽化した経験がある。

③野外品が入ってきたのが比較的最近  ○
→最近テルシテスヒメゾウカブトの野外品を輸入したショップがあるように、今でもたまに野外品の輸入がある。

IMG_3300

次に「マルス以外の大型メガソマ」

①ある程度飼育法が確立されている  ○
→上記に同じ。

②幼虫期間が長すぎない(1年半以内)  ×
→アクティオン、エレファス、ヤヌスは最短でも1年半はかかる。早期羽化でそれより早く羽化する場合も考えられるが、それは特例なので除く。

③野外品が入ってきたのが比較的最近  一部○
→エレファスは、定番産地の「メキシコ カテマコ」

が数年前に神戸のショップにて野外品が入荷され、
今ではWF2個体が流通している。
更に別タイプのイイジマゾウカブトや亜種のオキシデンタリスの野外品輸入も記憶に新しい。
アクティオンも、定番産地の「ペルー イキトス」
以外にエクアドル産やフレンチギアナ産が数年前に輸入されている。


では、マルスゾウカブトを考えてみる。
①ある程度飼育法が確立されている  ○
→上記に同じ。


②幼虫期間が長すぎない(1年半以内)  ×
→アクティオンよりかは幼虫期間は短いが、1年半以上かかる。社会人1年目でブリードした際は2年ほどかかった。

③野外品が入ってきたのが比較的最近  ×
→野外品の輸入を聞いたことがない。
私の情報不足だったら申し訳ないが、2000年代の奈良オオクワセンターの野外品以降マルスの野外日輸入は、無いのではないだろうか。
加えて生息域が狭い訳では無いのに、定番産地「ペルー イキトス」以外の産地を見たことがない。


メガソマの中でマルスゾウカブトのみが、1つ目の条件しか当てはまらないのがお分かり頂けただろうか。
だから「野外品は入らないし、幼虫期間も長いから儲けの旨みが無いな」と判断され、「金儲け層」はマルスを飼育しない。ショップでは、無いことはないが、他種と比べたら極めて取り扱いは少ないだろう。

ヒナカブトを考えてみてほしい。
①ある程度飼育法が確立されていて、②幼虫期間が1年半以内と短くて③野外品が「時々」高額で輸入されてくる。「金儲け層」が参入する全部の条件に当てはまっているのだ。

ベルティペスビロード、ヨツボシ、マルガリータ等
一時期超高騰して暴落した種類がたくさん頭に浮かぶ。今高騰しているのはフンボルトだろうか。
女性のカブトムシブリーダーのヒナカブト飼育率が高いと思うのは、ファッション的な意味も含めてそういうのが関係している気がする(これは偏見。失礼しました)。

FullSizeRender
↑ゴロファも①②③全て当てはまっている種類が多い。
                                                                                      

私見


「金儲け」と聞くと、あまりいい顔をする人はいないのではないか。そういう意味も込めて、あえて「金儲け層」という名前で呼ばせてもらった。
しかし私は「金儲け」を第一目標に虫をブリードするのは悪いことだと思うどころか、逆にどんどん金儲けを狙ってブリードしたほうがいいと考えている。


金儲けを狙って「金儲け層」がこぞって買うことで、特定の虫の相場が上がる。そして「生き虫のブリードって儲かるんじゃね?」と思うブリーダーやショップが増えていけば、生き虫業界はどんどん盛り上がっていく。

そういう人が増えれば、野外品の流通も増えるだろうし、飼育レコードを狙って大型個体の作出に熱を上げる人も増えるだろう。そういう意味で「金儲け層」の存在は非常に大事なのである。


そしてここからが大事。
個人的には「値段が高い=いい虫」という枠から外れ、「どんな値段がつこうとも、自分が好きだから飼う」という価値観で育てるほうが、トータルの幸福度とか満足度は高いと思う。

あと「あ、この虫高騰してるし儲かりそう」と思って
参入しても、その個体から採れた子が成虫になる頃には、同じ考えの人が同じように成虫を出品するので暴落するのがオチ。高騰してから参入するのでは儲けは望みにくい。

私が本気で儲けを考えるなら、ニジイロクワガタの全パターン全色血統そろえて、ニジイロクワガタだけ数千匹やるだろう。ヘラクレスは技術勝負だから儲けを考えるにはコスパが悪い。でもカッコイイからヘラクレスを1000頭飼っている。

結局一番得をするのは、好きな種類を値段の安い時に買って楽しく累代しながら「この虫いいよ!」と言う、つまり高騰のきっかけを作る人だと思う。
思いついた方もいらっしゃるのではないだろうか。
あの方である。

利益重視の「金儲け層」には到底生まれない純粋な熱量が、金儲け層を動かし、業界が盛り上がる。どちらになるもよし。私はきっかけを作る側になりたい。



以上です。最後まで読んでいただいた方に感謝致します。

↑このページのトップヘ