ニジイロクワガタを本格的に始めて2年4ヶ月。当初から育てているラインから数えると、今は3世代目に当たる。


FullSizeRender
今回も写真と本文の関係は無い。ただ文だけだと味気ないので写真を散らしている。

去年はブリードルームの許容量限界まで育てようと思っていて、2000頭ほど飼育した。しかし手が回らず、1本返しの小さな個体を沢山羽化させてしまった。また、しっかりと力を入れて育てられた個体も少ないものとなった。


今年は「適当な2000頭」ではなく「しっかりと力を入れた1000頭」を飼育方針に掲げた。500頭くらいが確実ではないかとも思ったが、育てたいラインを列挙したら500頭では足りなさそうだった。レコード狙い、光沢強化、青紋派生で諸々合わせて50ラインは越えた。


2024年は最大サイズが65.1mmで、65mm台はその1頭のみ。2025年は最大サイズが66.5mmで、66mm台が3頭、65mm台も5頭程羽化した。最大サイズは微量だが更新し、65mm台はある程度出し方が分かってきた。理想は高く、ということで2026年は5mm更新の71mmが目標だ(やりすぎ)。


DSC00440

目標、といってもブリーダーに出来ることは少ない。幼虫が育ちやすい環境を提供し、幼虫が痩せにくい状況を作り、あとは不全しないよう祈るだけだ。それでも大きく育つかは幼虫次第であり、基本的にブリーダーは他力本願である。


ブリードはガチャに似ている。当たる確率が極めて小さいガチャを引き続けるようなもので、ブリーダーはその確率を少しだけ引き上げることが出来る(かもしれない)。


2024年から、全飼育ラインの掛け合わせ詳細だけでなく、ボトルの詳細も記録し始めた。ボトル詰めした日、詰めたマットや菌糸の銘柄、詰め圧、加水量等だ。65mmを越えた個体のボトル詳細を見ると、1本目のボトルの条件が驚くほど共通していた。その条件下ではメスも41mmを普通に越えている。去年は色んな条件を試したが、今年は一番成長率の高かった条件を全個体に試す目論みだ。


DSC09959
紫紺グリーンピカール 66.1mm。イベントに持っていったら、通りがかる人々が「!?」という反応をしていて面白かった


ボトル詳細、ライン詳細をノートに記録している、とブリード仲間に言ったら「そんなにきっちり管理出来るのは自分(僕)だけですよ」と言われた。しかしそれは違う。記録することをルールとしておけば、記録することに苦労は無いし、見返したときに「あれ?累代いくつだっけ?」とか「この個体、何で育てたんだっけ?」といった疑問が一切無くなる。記録していないとこういう疑問が逐一出てきて疲れる。飼育においてはこの「思い出し疲れ」みたいなものがかなりストレスになっていて、多くのブリーダーのモチベーション低下に繋がっているのではないか。そしてそれらのストレスから解放される気持ちよさは、記録無しでは有り得ないと思う。特に飼育規模が大きい人にはオススメだし、販売する人にはもっとオススメだ(人様に売る身分として)。


純粋に、記録を残すということは面白い。記録する面倒や苦労よりも、記録によって得られる面白さは圧倒的に上だ。これは筋トレでもそう。習慣として、朝起きてトイレに行ったら体重を測り、食べたものやトレーニングの内容、時間を記録するようにしている。昨日何をどれくらい食べたから、大体500gくらい体重が増えているだろうなとか、3日前は10kg加重で懸垂10回やったから今日は12回に増やしてみるか、とかそういった目安が出来る。ひたすら記録し、内省していたら、前の自分よりも確実に変化している。この過程においてモチベーションの上下はあまり関係ない。ただルールに基づいて淡々とこなすだけだ。話がそれた。どうやって最後締めくくろうか…毎回よくわからなくなる。あまり頭を使っていないので仕方がない。

8/10浜松町SB(SHOPPER&BREEDERS)にお越しいただきた方々、大変ありがとうございました。今回も沢山の方にお越しいただき、非常に楽しいイベントとなりました。


IMG_2622
IMG_2703

さて、7/20に開催されたインセクトポート東京や、先日のSBでは、極彩色は性懲りも無くひたすらニジイロクワガタを持っていったわけだが、その際お越しいただいた方々が口を揃えて「デカイ!!」と言って下さった。それは66mmの巨躯紫紺グリーンピカールと66.5mmのレッド個体に対してだ。「どうしたらデカく育てられますか!?!?」と何度も質問を受けた。


どうしたらデカく育てられるかはまだまだ技術的に未熟なので一旦置いておいて(66mmはデカいかもしれないが、レコードはあと5mmもデカい)、大型個体を羽化させたり狙った色を作出するのには、コントロール出来ることと出来ないことを考えるべきだと僕は考えている。


どうしたら大きく育つだろうか?ブリーダーのやれることは何だろう…と考える。それは、栄養価の高いマットや菌糸を用意することかもしれない。低い温度帯をキープしてじっくり成長させることかもしれない。大型の親を使うことかもしれないし、トイレの掃除をすることかもしれない。


だが、ブリーダーがどれだけ考えて手をかけようとも、幼虫が育つかどうかは幼虫次第である。どれだけ熟考を重ねた最高の環境を提供しても、大きく育つかは幼虫の気分(?)次第である。幼虫の気分をブリーダーが変えることは(多分)不可能だ。ではどうするか?幼虫に「今の生育環境はどうですか?よい 普通 わるい」のアンケートを取れれば話は早いが、それは(多分)無理だ。



結局のところ、ブリーダーはブリーダーがコントロール出来ることしか出来ないのである。どのような環境を作れば幼虫は大きく成長する傾向にあるのかを、何パターンも試していくことしかブリーダーには出来ないのだ。時間も手間も労力も金もかかるかもしれないし、それらがまるっきり徒労になるかもしれないが、それしか出来ないのだ(真冬にボトルを何百本も洗わねばならんのだ)。


土を詰め続けろ。これは自分の戒めである。今日ようやく2箱詰められた。暑さもあって1箱で参ってしまう自分が嫌になる。「何やってんだろう俺」と冷静になることもある。明日はボトルを洗って3箱分詰める。来年の春頃に大きく育った成虫の羽化を拝むために今日詰める。それしか出来ないのだ。


























いいから詰めろ!!!

青紋の形質を紫紺の個体に付与したパターンを、僕とブリーダー仲間の間では「青紋紫紺」と定義している。先程ブリードルームで羽化してきていた青紋紫紺個体を掘り出していて、今年から来年にかけて種親となるオスを選んだ。

青紋紫紺と一括りに言っても外見に現れる色パターンには個体差があるので、今回はそのうちの3パターンを紹介する。



パターンA
上翅全体が紫紺で、表面に青色が乗るパターン。ブリード仲間は「完全体」と呼んでいる。色味は紫紺(青系)の上翅に乗る青みと似ているが、前胸部パターンAのほうが暗く濃いつや消し紫になり、上翅はざらついていて、土が付きやすい。また、縦シワがある場合もある。青紋個体の、いわゆる青色の紋は確認するのが難しいが、前胸部の色みや上翅の質感には青紋個体と共通する特徴が見られる。
DSC00482
DSC00483
DSC00484

パターンB
上翅に紫、青、緑が点々と乗るパターン。青紋個体に乗る赤が紫に取って代わったようなもので、赤色は確認できない。青紋っぽさがわかりやすく、このパターンは縦シワが出やすい印象(特にメス)。このオスのかけあわせは青紋紫紺(パターンA)と青紋ホワイトアイの1代目で、ヘテロホワイトアイになる。紫の面積の広さには個体差があり、各色の境界がはっきりしている。
DSC00485
DSC00486
DSC00487

パターンC
この個体は一見すると、青面積の広いただの青紋のように見えるが、上翅下部に紫が乗っている。このパターンがほぼ青一色に見えるのは、上翅の色の境界線が曖昧なためではないかと思われる。

DSC00488
DSC00489
DSC00490

以上が当方の羽化個体で確認した3パターン。当初は以下の個体も含め4パターンに分類してみたが、下の個体はパターンCに近い気がする。

DSC00491
DSC00492
DSC00493


ざっくり言うと
パターンA→紫紺(青系)のようなほぼ単色
パターンB→青紋の赤色が紫に置き代わった
パターンC→各色の境界線が曖昧

といった感じ。他にももっとあるかも知れないが、青紋紫紺は飼育歴がまだ浅く、わからないことも多い。今期はこの3パターン同士のインライン、異パターンのアウトライン等作って子の変異を調べる予定。



12/13追記
2025年は
パターンA、B、Cのインライン、
パターンA×パターンB、
パターンA×青紋
パターンA×紫紺ヘテロ青紋
パターンBのヘテロホワイトアイ×青紋ホワイトアイ
など、様々な組み合わせを行った。総じて感じたのは、大歯型の不全率がほぼ100%だったこと。短歯型は普通に羽化する(青紋特有の縦シワはあれど)が、体重が乗った大きめな個体はほとんど激しい翅パカになった。ニジイロ仲間いわく「血がまだ安定していない」からだと言う。青紋としての不全率は低いが、紫紺が入ると不全しやすくなるのは、まだ血が安定しておらず、不全になる。

逆に青紋ホワイトアイは二重劣勢遺伝子を持っているが、60mmを優に超える完品が普通に羽化した。これも当初は不全ばかりだったのではないか?

青紋紫紺も、不全しなかった個体のインブリードを続けていったら、やがて大歯型も完品が羽化してくるのではないかと思う。

青紋、面白い。

ホワイトアイがレッドや紫紺にも付与出来るように、青紋もレッドや紫紺に付与出来る。ただしピカールとは相性が悪く、青紋遺伝子が顕在化すると前胸部の光沢は失われる。「青紋ピカール」というポストの99.9%は青紋ピカールではない(例外として、凄まじいブリーダーさんが作り出していた本物を2度ほど見た)。狙って羽化させるのも難しいものなのだ。

が、僕のニジイロ仲間はこれを克服しようと頑張っている。少なくとも、4世代の厳選は必要な過酷な道だ。

これは大人気のピカール(僕も大好き)にはない面白みである。今年かけあわせたレッド青紋×青紋紫紺の子はどんな色味で出てくるんだろう?楽しみだ。

↑このページのトップヘ